- 安易に助けに行ってはいけない
- そもそも酸欠って何?
- 我々は酸素をどうやって摂取するの
- まとめ
安易に助けに行ってはいけない
今日は、酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育を実施してきました。
酸欠・硫化水素中毒で倒れている仲間を安易に助けに行かないで下さい。
三十数年前、私の知人が、マンホールの中で、酸欠で倒れた仲間を助けに行って自らも酸欠で亡くなった災害がありました。
仲間を助けたいという気持ちは、十分に分かるのですが、何も準備を行わないで助けに行くことは、自殺するのと同じです。
呼吸用保護具の準備が必要です、呼吸用保護具でも全てが良いわけではありません。給気式の保護マスクだけが使用できます。間違ってもろ過式のマスクは使ってはいけません。

では、給気式の保護マスクとは、自給式呼吸器、所謂背中に酸素ボンベを背負う空気呼吸器とコンプレッサーなどから圧縮空気を送る送気マスクの使用です。
但し、どちらも何回も装着の練習を重ね、素早く装着できるのでしたら宜しいのですが、まず現場で練習など行わないのではないでしょうか?
練習どころか備えていない現場が殆どです。
化学工場などですと、担当部署に準備をしてあり、数回の装着練習を行っているようですが、緊急時に早急な対応ができるかは、不安が残ります。
やはり、事故が発生したら1秒でも早く、消防署に連絡することです。
消防隊員の方々は、普段から呼吸器の取り扱いをいかに迅速に装着し行動できるよう弛まぬ努力を行っています。年にニ、三度装着訓練をした者が俄かレスキューにはなれません。かえって災害を発生してしまうかもしれません。
一刻も早く、消防署に連絡を取って下さい。
救急車の要請ですと、首都圏で最短6分30秒、平均8分30秒、遅くとも10分以内に到着してくれますが、レスキュー隊の要請では、15分と言われております。(地域、状況によってかなり時間がかかる場合もあります。)
そもそも酸欠って何?
そもそも酸欠ってなに?
地球の大気には、酸素が約20.95%、窒素が約78.08%残りの1%に二酸化炭素やアルゴンなどで組成されています。地球が誕生し何十億年の経過とともに今の組成になったと言われています。酸素が約21%の存在で我々は生活をしているのですが、酸素濃度が18%未満になりますと息苦しく、換気を必要となり、
16%未満では頭痛、耳鳴り、悪心、吐気、チアノーゼが現れるなどの症状が、14%未満では判断力の低下、不安定な精神状態(怒りっぽくなる)、全身脱力。
10%未満になりますと危険を感じても動けず叫べず、虚脱、幻覚症状など、6%以下になりますと数回の喘ぎ呼吸で失神・昏倒・心肺停止、死。
ですから酸欠とは酸素濃度18%未満という事なのです。
我々は酸素をどうやって摂取するの
では、酸素の摂取は
鼻から吸い込んだ空気が肺の先端にある肺胞(左右の肺に3億個にも及ぶ袋)に入ります、この肺胞を覆っている毛細血管を通して血液に酸素が入り、心臓をはじめ色々な臓器に回り肺に戻り肺胞でガス交換が行われ二酸化炭素になって息とともに排出されます。
我々人間にとって酸素を一番必要とするのが、脳の大脳皮質です。ここに酸素がこないと脳の活動に異常が出て、脳の細胞が壊れてきてしまい、息をする、心臓を動かすなどの指令を出さなくなってしまい、死に至るのです
もし心臓停止などで血液が止まれば、脳の機能も瞬時に止まり、意識不明となり仮死状態に陥る。呼吸している空気が無酸素状態や極限的な低酸素濃度となれば、必要な酸素が得られないので、その無酸素空気を1回でも吸収すれば意識喪失をきたす危険な状態になります。
地下ピット・マンホール・配管内・井戸等密室での酸素欠乏箇所が建設現場をはじめ色々なところで見られます。
必ず、送風機等で新鮮な空気を送り、酸素濃度チェックを実施、確認後でなければ、入ってはいけません。
まとめ
講習時に受講生たちにこんな言い方をします。
「空気、見えますか?匂いがありますか?」
「見えないし、匂いませんよね。わからないですよね。
酸素があることが分からないのですから、酸素がないこともわからないのですよ。無酸素状態も見えませんし、匂わないので。」
「皆さんが普段使っている都市ガスやLPガスは、匂いますよね。でも元々は臭いがないので、ガス漏れを早期発見のために付臭剤が添加されています。
それでも年に何件かガス漏れによる災害や事故が発生されています。匂いがあっても災害事故が発生するのであれば、匂いがない目に見えない状態で、
酸素がある、ないなど全然わからないでしょ!
だから怖いのです。」って伝えるのです。
因みに硫化水素ガスは、匂いがあります。腐乱臭!ただし濃度が高くなると、
鼻の機能を麻痺させてしまい、匂いを感じなくなってしまいます。
これも非常に怖いですね。硫化水素中毒に関しましては、何時か報告します。
ですから、いち早く119番通報を行い、救助のスペシャリストを待つのが、
一番安全なのですよ!中途半端に助けに行っては、いけません。
コメント欄にて色々と質問など書き込んで頂けると幸いです。
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何でも構いません、コメントを頂けると、今後の励みになります。
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一緒に安全作業を楽しみましょう。
安全を好きになって下さい!
2022年2月7日 ブログ管理人:Autumn leaves (紅葉)
(仮)『怪我と弁当手前持ち』って知っていますか?
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