あなた、労災っていくら貰えるか知っているの?

労働災害保険
  • 労災の休業補償ってどのくらい給付されるの
  • 給付基礎日額
  • 休業補償給付
  • 死亡災害で労災給付は
  • 損害賠償責任
  • まとめ

労災の休業補償ってどのくらい給付されるの

職長・安全衛生責任者教育や現場監督さんに行う統括安全衛生責任者教育の講義を行うときに、必ず受講者達に聞くのが、「休業補償ってどのくらい労基署から給付されると思いますか?皆さんがもし労働災害で休業したときにどの位補償されると思いますか?」

休業1日につき、給付基礎日額の80%(休業(補償)給付=60%+休業特別支給金=20%)が支給されます。
 なお、所定労働時間の一部について労働した場合には、その日の給付基礎日額から実働に対して支払われる賃金の額を控除した額の80%(60%+20%)に当たる額が支給されます。

給付基礎日額

1.給付基礎日額の計算

 給付基礎日額とは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。平均賃金とは、原則として、事故が発生した日(賃金締切日が定められているときは、その直前の賃金締切日)の直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日当たりの賃金額のことです。(「賃金」には、臨時的支払われた賃金、賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。)
 上記の例で給付基礎日額は、(10月に災害発生の場合)
 20万円×3か月÷92日(7月:31日、8月:31日、9月:30日)
 ≒6,521円73銭となります。(なお、給付基礎日額に1円未満の端数がある場合は、これを1円に切り上げます。)

休業補償給付

2.給付基礎日額を元に休業(補償)給付を計算する。

 休業4日目以降について、労災保険から支給される1日当たりの給付額を計算すると、
 保険給付  (6,522円×0.6)=3,913円20銭・・・・・・・・・・(1)
 特別支給金 (6,522円×0.2)=1,304円40銭・・・・・・・・・・(2)
 (1円未満の端数を生じた場合には、これを切り捨てます。)
 合計 (1)+(2)=3,913円+1,304円=5,217円となります。

給付基礎日額=5,217円です。

例えば今日3月27日に災害が発生し、3カ月間休業する場合ですが、上記と同様に先ず給付基礎日額を計算しますと、20万円×3カ月÷90日(12月:31日、1月:31日、2月:28日)≒6,666円66銭となります。

次に給付基礎日額を元に休業(補償)給付を計算します。

休業4日目以降について、労災保険から支給される1日当たりの給付額を計算すると、
 保険給付  (6,667円×0.6)=4,000円20銭・・・・・・・・・・(1)
 特別支給金 (6,667円×0.2)=1,333円40銭・・・・・・・・・・(2)
 (1円未満の端数を生じた場合には、これを切り捨てます。)
 合計 (1)+(2)=4,000円+1,333円=5,333円となります。災害発生日によって給付額が変わります。

生活がありますので、毎月休業(補償)給付を請求しなければなりませんよね。という事で、4月末までの休業補償給付を請求するのですが、先ず病院で3月27日から4月30日まで休んでいたことを証明して頂かないといけません。労災用の様式第8号休業補償給付請求書に必要事項を記入し3月の27日から4月30日までの休業を証明してもらうために、病院に提出するのですが、4月30日に通院していればその日に提出できますが、極端な話4月28日㈭に通院した人は、4月30日までの証明はもらえないので、病院は4月30日以降通院しなければ証明して頂けません。ここで大変な問題があるのです。病院によっては土日が休みで、4月、5月のゴールデンウィーク中休診することもあります。ですから、ゴールデンウィーク明けの5月6日以降でないと通院できないこともあり、場合によっては、予約が、12日㈭となれば、請求書提出が12日以降になり、病院はすぐに証明を出してくれません医師に証明して頂くため1週間から2週間先でないと、請求書の証明をして頂けません。2週間後ですと5月26日になります。これからこの請求書を労災加入している元請にも証明を貰うので、実際にすぐにも元請で証明を頂けたとしても、4月分の請求書を所轄労働基準署に提出するのが、5月26日以降になり、特に初めての休業補償給付請求ですと、平均賃金等を確認するためお勤めされている企業に連絡確認がありまして、6月中旬に振り込まれます。しかも、労災は、被災日3月27日からの支払いではなく、3月30日以降からの支払いになります。休業3日以内は、企業が負担し、休業4日以降の支払いとなるのです。各企業ごとに就業規則や休業補償規程などにより、3日間の支払いを行いますので、場合によっては、給付基礎日額或いは平均日額の支払いや全額支給となるのですが、零細企業や労災に疎い企業ですと、会社負担3日間の事を知らない企業もあります。

ですから、休業補償給付請求をゴールデンウィークや年末年始に行う場合は十分注意しないと遅くなってしまいます。通常(毎月15日前後)に労基署に提出していれば月末には入金してくれます。

死亡災害で労災給付は

「では、死亡災害ですと遺族に対して、どの位補償されると思いますか?」

想像がつかないのか皆黙ってしまいます。では、質問を変えます。「死亡災害でご家族にどの位労災を出して欲しいですか?」私は、一人ひとりに聞きます。「3,000万円は欲しいです」「5,000万円」「1億円」と皆さん答えます。

実際に貰える遺族補償金額は、一つは年金です、遺族年金こちらは、また何かの機会にお話します。

一時金の支給 給付基礎日額の1,000日分+遺族特別支給金一律300万円ですから、先ほどの計算から ①給付基礎日額 5,333円×1,000日=5,333,000円 + ②遺族特別支給金 3,000,000円 =8,333,000円が支給されるのです。そして③として葬祭給付として給付基礎日額5,333円×60日分  =319,980円が支給されますので、支給総額8,652,980円になります。

「皆さんのご家族は、800万から1,500万円の労災補償金を貰って納得すると思いますか?」

「絶対納得しませんよ!例えば給料20万円の人が一生働いていくら稼ぐのですか?20代の方でしたら40年から50年でしょ!ボーナス入れて年間3,000,000円×40年で1億2,000万円ではありませんよ。給料は、上がっていくので、2億から3億円稼ぐのですよ。それを1,500万で納得できるわけないでしょ!だから、企業は労災の上乗せ保険に加入しているのです。元請会社では、大体3,000万円位、専門業者でも1,000万円から2.000万円位加入しています。併せて労災+元請の上乗せ保険+自社の上乗せ保険で6,500万円位で、ご遺族に示談を願うのですが、今の時代ですと、この金額では納得されない。そうなりますと、遺族が企業に損害賠償の訴訟を起こすのです。近年の裁判での判例を見ますと、1億円はくだらないのが現実です。しかも、業務中の災害ですので、葬儀は社葬となり企業側が支払うのです。労災で葬儀代60日分請求できますが、これはあくまでもご遺族の請求です。葬儀は、質素にしても2~300万円は掛かりますよ!例えば1億円の判決が出れば企業は残りの3,500万円を分割で支払うことになります。しかし家のローンではないので35年払いとはならないでしょうね。10年位で支払うのですかね!」いずれにしても大金がかかるのが、死亡災害です。これ以外の費用に関しては、いつかお話ししますね。

損害賠償責任

損害賠償責任とは、違法な行為により、他人の身体や器物に損害を与えた場合に、その原因を作った者が、損害の埋め合わせをする責任のことです。民法に基づく損害賠償責任は、不法行為責任と債務不履行責任とに分けられます。

 被災者からは、債務不履行責任(民法415条)

 安全配慮義務違反(労働契約法第5条)で債務不履行責任で訴えられることが多く見られますが、この場合、立証責任は事業者側が負うことになります。安全配慮義務違反に関しましては、次の機会にお話しします。

そもそも損害賠償金を支払うの誰なのでしょうか、元請さんですかね?違いますよ、被災者の雇用者ですから被災者の勤めている会社が支払うものですよ!損害賠償金を支払うのは、その作業員を雇用していた事業者および労働災害の発生について責任を負う者を雇用している事業者というのが原則です。しかし実態は、元請会社も含め災害に関する会社が、労災上積保険の加入状態および責任の度合いなどに応じて負担することが多く見られます。いずれにしても、重大な労働災害を発生させると、多額の損害賠償金を負担しなければなりません。

元請には損害場賞金を支払う義務はないのかもしれませんが、道義的責任において元請は、損害賠償金を支払います。まぁ元請としても、自社の工事で災害に合われているので、下請さんにお任せで、私達は知りませんとは、言えませんよね。

まとめ

労働災害を発生しますと、休業補償給付請求や死亡災害請求等国の補償はありますが、全て手続きを踏まないと受給することが出来なかったり遅れたりします。そして希望する金額からは程遠いのが、労災です。私は受講者にこう伝えます「全ての会社に、私はいません。私のような労務安全の専門家がいれば遅滞なく手続きをしますが、殆どの企業では、総務とか事務系の方が処理しますから、自らの仕事を優先にしますので遅れたり、或いは経験していなかったり等で、受給に支障がある場合もありますよ。労災で儲かった人などいません。片手を失って後遺症障害補償給付で受給しても、片手は戻りませんよ、怪我をすると損しますよ。怪我を負ったり、病気になったりなど無く、健康で働いているのが一番幸せですよ!」と伝えます。


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2022年3月25日 ブログ管理人:Autumn leaves (紅葉)

『怪我と弁当手前持ち』って知っていますか?

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