あっ 痛!

グラインダー作業
  • 災害発生
  • グラインダー作業での災害
  • ワイヤーカップブラシ
  • 高い代償

災害発生

スマホに連絡が、

「災害発生しました。大至急○○作業所へ!」

「災害の状況、被災者の怪我の具合は?」

「一報ですのではっきりしませんが、グラインダー作業で物が飛び左目を負傷したようです。」

「わかりました、現場に向かいます。」

急いで現場へ!数分後またスマホに・・・

「Autumn leaveさん、○○大学病院へ、行ってください。」

「どうしました?」

「緊急手術を行うと連絡がありました。」

「ちょっと待って、そんなに遠い病院で手術って!」

「眼科医では、治療が出来ないらしく、救急車で搬送されたそうです。」

「病院に向かいます。」

運転しながら過去の失明事故の事を思い出していました。

「あっ!買ったばかりの保護メガネが!」でお話しをした通り三名の失明を経験していましたので、もしかしたらまた、・・・・・・。

病院に駆け付け、手術が終わるのを待っていました。

何時間待っていたか!

手術を担当された医師が出てきまして、

「手術は成功しました、失明は避けられたと思いますが、かなり視力は落ちると思います。」

私は、失明しない事にホッとし医師に、

「ありがとうございました。失明を避けられて本当に良かったです。」

何回も何回もお礼を言い続けました。

視力が落ちれば、メガネやコンタクトレンズで、矯正するので煩わしいですが、失明に比べれば全然違います。見えるのですから。

会社に怪我の状況を連絡し、夜の10時を回っていましたので、明日に被災者から事故の聞き取りを出来るかを医師に確認し帰宅しました。

翌朝一番で、現場に行き状況を確認しました。私が病院に向かった後に、他の者が現場確認をしておりましたが、性格ですかね、自ら災害現場を確認しないと、災害の把握が出来ないのです。憶測やまた聞きですと見える物も見えないので、自ら確認するのが一番です。

その後、約束した時間に被災者から事故発生の状況の聞き取りに。

グラインダー作業での災害

グラインダー作業での災害でした。

作業を終了し客先に確認をして頂いたら、一部ケーシング(機械の外枠)にモルタルが付着しているので、削り取ってほしいとの要望に、被災者は、工具を持参していない事を客先に伝えますと、客先の携帯用グラインダーを貸していただけるとの事で、携帯用グラインダーで付着したモルタルを削り取ろうとした時、何かが眼に飛んできて負傷したとの事でした。

医師に眼球に刺さっていた飛散物を確認しますと、小さな針金のような物が刺さっていたそうです。

グラインダーの最高使用周速度は、砥石の種類によって違いますが、最高で80m/sec 時速288kmですから、新幹線の速さで回転します。最高使用周速とは、砥石が遠心力等で破壊せず、安全に使用できる周速度をを最高使用週速度といいます。)因みに丸ノコですと時速120㎞くらいです。

こんなにも速い回転をするグラインダーなのですが、作業される方々は、あまり怖さを感じていないようです。

グラインダーは、砥石を装着し削る、磨く、切るを行う電動工具です。この砥石はたくさん種類があるのですが、一般的な砥石は、砥粒、結合剤、気孔からなっています。

砥粒(グレーン) 加工物を削る、磨く、切る等のために形成されている。

結合剤(ボンド) 砥粒を固め、用途に合わせた形に作り、砥粒をつなぐ接着剤の役目をし、結合度により砥石の硬度が決められます。

気孔(ボアー) 気孔は、削り屑を逃がすための隙間です。

砥石の粒(砥粒)は加工物より硬く、砥石には、砥粒が無数に結合され、その一つ一つが刃物の役割をし、刃先が小さくても高速回転のため、加工面に刃先が接触し、通過することにより、大きな力を発揮し、能率よく加工することができる。刃先の摩耗した砥粒は、脱落し、常に新しい刃を出し、絶えず新鮮な切れ味を保ちます。(自制作用)

削ったり磨くと砥石は、小さくなっていくのですが、常に新しい刃で物を削ったり磨くことが出来るのです。

基本この作業を行う場合は、保護メガネの着装を義務付けております。

ワイヤーカップブラシ

客先からお借りしたグラインダーには、砥石ではなく、鍛冶屋さんたちがよく使われる、ワイヤーカップブラシが装着されていたのです。

このワイヤーカップブラシとは、簡単に言いますと、カップに沢山の細い小さな針金が付いた研磨用の物です。これは、慣れている方ですと、良くわかっているのですが、研磨をすると、この小さな針金がカップから外れてしまい、顔に当たったり作業着に刺さってしまうので、必ず、保護メガネを着装しないと作業しないのです。

ところが、初めてワイヤーカップブラシを装着した携帯用グラインダーを渡された被災者は、普段はカップ式のダイヤモンドカッターを使用していたので、保護メガネを着装して作業を行うのは、わかっていたのですが、遠くに止めた車に保護メガネを取りに行くのを面倒くさいと、少しのモルタルを削るのでメガネを取りにいかずそのままで、研磨した途端に、ワイヤーカップブラシの針金が新幹線と同様のスピードで飛び「あっ痛!」左目に刺さった災害でした。

高い代償

被災した彼は、とても高い代償を支払うことになってしまいました。

そもそも、作業が終わった後に、モルタルを除去しておけばこのような災害は、発生しなかった。面倒だからと保護具を取りにいかなかった事から災害が発生している。普段から奇麗な仕事を心がけていればこのようなことにはならなかったし、保護具を使用しないで作業をやってはいけない事を、わかっているのに面倒だからと遠いからと取りに行かなかった、たった数分で取りに行けたのに。片付けや保護具を取りに行くことが、そんなに大変なことなのですかね。だから高い代償、視力1.5から0.01まで視力を下げてしまい、痛い思いまでしてしまったのです。

視力は一生良くならないそうです。救いは失明しなかったため、今も仕事を続けることが出来る事だけです。家族に心配をかけ、客先に迷惑をかけ、痛い思いをしてやっと気付くのです。

奇麗な仕事をすればよかった!保護具なしで作業やってはいけないと怪我をしてから気付くのです。

自分は怪我とは無縁と思っていたそうです。

我々安全スタッフがいくら言って聞かせても、本人が危機感を持たず痛い目に合わなければ、わからない方がいるので、災害は無くならないのです。

安全のルールや法を守らない方に私はこんな言い方をします。

「あなたがルールや法を守らないで怪我をしても、私は痛くも痒くもありません、痛いのは、あなただから。でもね、そんなルールや法律を守らないあなたでも、あなたの事を大好きで愛する家族がいらっしゃるのですよ。そんな家族を哀しませる方を私は許せません、今すぐ仕事やめて帰ってください。私の現場は、家族を哀しませる方は、いりません。」と・・・・・・

コメント欄にて色々と質問など書き込んで頂けると幸いです。

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何でも構いません、コメントを頂けると、今後の励みになります。

コメントお待ちしております。


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一緒に安全作業を楽しみましょう。

安全を好きになって下さい!

2022年3月17日 ブログ管理人:Autumn leaves (紅葉)

『怪我と弁当手前持ち』って知っていますか?

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